1970年代 1970年代

会社の設立とアメリカンライフスタイルへの憧れ

ビームスの物語は1976年2月、創業者の設楽悦三が東京・原宿に、わずか21平方メートルの小さな輸入衣料店「アメリカンライフショップ ビームス」を開店したことから始まります。設楽は、この店が若者に全く新しい何かを提供したいと考えていました。「ビームス」という店名は、世界中から集めた良質な商品に光を当て、強固な組織体として他者を支え、お客様に「輝く笑顔」を届けたいという、店の願いを体現していました。

UCLAの寮の部屋を模した店内では、スウェットシャツからネズミ捕りまで、アメリカ西海岸の若者に欠かせないあらゆるアイテムを販売していました。創業当初から、ビームスは単なる衣料品の販売にとどまらず、海外の人々の新たな暮らしぶりをよりよく伝えるため、幅広い商品を提供していました。

過去数十年にわたり、原宿はストリートファッションの世界的なメッカとなり、当初は日本中の若者を、そして今では海外からの観光客を惹きつけています。しかし、ビームスが40年前にオープンした当時は、ラフォーレ原宿のような有名なショッピングセンターやランドマークはありませんでした。「ファッション」の概念は、アイビーリーグの服のローカルバージョンと、狭いアパートで少量生産する少数の職人的なデザイナーに限られていました。さらに、レディースウェアやビジネススーツに比べて、メンズカジュアル市場は特に未発達でした。

ビームスの最初の店舗は、西海岸からの輸入品を販売し、本物のアメリカンライフスタイルを求めるアメリカの人々の憧れを体現していました。開店と同年、西海岸の文化を主に取り上げた男性ファッション誌『ポパイ』(マガジンハウス)が新刊書店に登場しました。ビームスとポパイは緊密に協力し、海外の文化や商品に関する最新情報を交換し、今日まで続く強い関係を築きました。

A brown paper bag featuring the printed words in orange: "American Life Shop: BEAMS. Harajuku, Shibuya, 470-3947 462-0222."

1977年、ビームスは西海岸風の商品をより多く販売するため、渋谷に2号店をオープンしました。2年後、設楽氏率いるチームはアイビーリーグや「トラッド」スタイルの流行に乗り、新しいタイプの店舗「ビームスF」を立ち上げました。「F」は「未来」を意味し、最も魅力的な海外ブランドをどこよりも早く取り揃えるという新たな使命を会社に課しました。

この店では、東海岸のアメリカ製品を豊富に取り揃えていましたが、その後、ビームスFは、就職する顧客により適した商品を探すため、伝統的な商品のより本格的な供給源であるイギリスに直接向かいました。

この数年間、ビームスは、文化的なアンテナを高く掲げ、常に最新のスタイル、ファッション、ライフスタイルを探し求めるという、日本の専門店の典型的な運営方法を確立しました。

文:村上要/WWD JAPAN編集長 W.DAVID MARX / 『地位と文化』『アメトラ』著者